その青年は、タイ人特有の笑顔で手招きした。
ガラス張りの向こう。ファランポーン構内の、ガラス張りの旅行代理店の前である。
誘われるままにトビラをあけると、目の前の椅子を勧められた。他には白人の旅行メが、いろいろ打ち合わせをしている。
「で、どこへ・・・」
「ビーチへ行きたいんだけど・・・2、3日の予定で。トラートなんかいいな」
「え!トラートは無理だよ。パタヤかホアヒンはどう?」
「パタヤは夏にいったから嫌だ!う〜ん、ホアヒンしかないのかな?」
「絶対ホアヒンだよ!」
青年はでっかいファイルをとりだして、ホテルを選び示した。う〜ん、高すぎる。
「高いよ」
「この時期でこの値段は安いよ」
「でも・・・」
しばらくそんなやり取りが続いた挙げ句、2泊3日で手を打つことにした。カード払いだと5%の手数料がかかるということで、ATMの場所を懇切丁寧に教えてくれただけでなく、ホアヒン行きの切符まで、走って買いに行ってくれた。
「じゃあ、この封筒にクーポン券、入っているから・・・」
青年は封筒の上に、ゥ分の名前を書き出した。
「一人なんでしょ?今晩の予定は?」
「べ、べつに、、、」
「じゃあ、今晩一緒にご飯食べにいこうよ。夜の8桙ワでに電話して」
封筒に電話番号まで書いてくれたうえ、オフィスの外まで見送ってくれた。
彼との約束を思い出したのが、夜8梍シ。お気に入りのマッサージ屋で、まったりと過ごしていた最中であった。
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