感の良い人なら既に気が付いていると思うが、氷まみれ、シロップまみれになっ て戦うのではない。カキ氷を食べた結果戦う事になるのである。何と? もちろ
ん”アレ”とである。
これを、食事をしながら読んでる人もいるやも知れぬので名前は伏せて おくが、幼い頃の金太郎の服巻とかカミナリ様と縁の深かった”アレ”である。
節約に努める旅行者にとって、屋台は食生活に無くてはならぬ要素である。あっ ちの屋台でバーミーを、こっちの屋台で焼き鳥をと、連戦練磨の屋台修行を重ね、
ありとあらゆる雑菌を自分の体に取り入れ実(いや、ここでは「こやし」と言う のが正解だろう)としてきた歴戦の勇者にも、いやむしろそうゆう奴だから、
「これはチョットやばくないか?」 と一瞬躊躇うときがある。
そう、それと私が出会ったのは、シュムリアップのセントラルマーケットの一 角にある甘味屋台でであった。氷を削るカンナ台といい、テーブルに垂れた甘い
汁の跡に集る夥しい数の蝿といい、屋台の廻りの肉屋、魚屋から放たれるアジア の市場独特の腐臭といい、”アレ”を予感させるには充分な環境が整っていた。
いや、これだけなら他にも似たようなところはいくらでもあるし、実際そうゆ うところで経験を積んできたのだ。
だが、いくつもの要素が絡み合って醸し出す全体の雰囲気が、私の第六感に 「ここは危ない。」 と囁くのである。今迄の経験に裏打ちされたその予感からすれば、避けて通るの
が普通であったろうが、ケッタクソ悪い暑さと、その値段の安さの魅力の前には 黙って通るわけにはいかなかった。ついに私はそれに手を出してしまった、、、
ことの顛末は、あまりにも醜いので、やっぱり伏せておくことにするが、その 戦いは帰国するまで続いたのであった。
※検疫所の質問表には正直に答えましょう。
この旅行記へのご意見、ご感想はtravel@yukirun.comまで
|